OuroborosDaily Special

03 · Daily Special · Signal 3

資金が入ったのは、どの入り口か

資金が入ったのは、どの入り口か

同じ5取引日のビットコインとイーサの資金フローとファンド別の広がりを照合し、未完成の10月5日の観測値は分けて記録する。

ビットコインのファンドは、週全体では資金の純流入だった。ところが、一つのファンドを集計から外すと、残りは純流出になる。

この意外な内訳が見えるのは、9月28日から10月2日までの米国の5取引日だ。Farsideのビットコインの表を合計すると、純流入は 2億4,110万ドル。そのうちIBITだけで 4億5,020万ドルが入り、残る11本は合わせて 2億910万ドルの純流出だった。

合計が正しくても、「みんなが押し寄せている」という頭の中の映像まで正しいとは限らない。市場の物語を書く前に、どの入り口が混んでいたのかを見てみたい。

二つの市場のカレンダーをそろえる

比較相手になるのがイーサだ。まったく同じ5取引日について、Farsideのイーサの表は 1億3,810万ドルの純流出となる。香港時間10月6日に確認した時点で、この計10行の各ファンド欄にはすべて数値があり、足し直すと表示された日次合計と一致した。

単位は100万米ドル。マイナスは純流出を表す。

米国取引日 ビットコイン イーサ
9月28日 +31.0 +17.1
9月29日 +66.2 −2.8
9月30日 −148.7 −59.6
10月1日 +102.7 −55.4
10月2日 +189.9 −37.4
5日間合計 +241.1 −138.1

月曜日は両方とも純流入、水曜日は両方とも純流出だった。残る3日は方向が逆だ。「暗号資産への需要が全面的に戻った」とまとめてしまうと、むしろ面白い部分が消えてしまう。

合計を開いて、ファンドを数える

ビットコインの12本では、週の純流入が4本、純流出が5本、ゼロが3本だった。イーサの11本でプラスだったのは、170万ドルが入ったTETHだけ。6本がマイナス、4本がゼロだった。ここでは規模によらず1本を1票として数えている。投資家の人数ではない。

IBITの流入額がビットコイン全体の純流入を上回るのは、ほかのファンドの流出が一部を相殺したからだ。計算は 241.1 − 450.2 = −209.1、単位は100万ドル。この引き算が示すのは観測された内訳であり、「IBITが存在しなかった世界」の市場予測ではない。

また、ビットコインとイーサの差を、そのまま資金の乗り換えと呼ぶこともできない。表には、同じ投資家が一方を売って他方を買った記録がない。資産規模でそろえた比率でもないため、ドル建て合計だけで需要の強さや期待リターンを順位づけることもできない。ここで確認できるのは、資金の流れが分かれたことだ。

月曜日の数字は、まだそろっていない

10月5日は翌週に入る。保存したビットコインの行では10本に数値があったが、IBITとBRRRはまだダッシュだった。表示されたマイナス1億5,970万ドルは、数値のある欄の合計と一致する。イーサはマイナス1,890万ドルで、ETHAとETHBが未記入だった。ビットコイン・イーサ

この小計にも観測値としての意味はある。ただし、取引日全体の結果ではない。計算シートでは欠けた欄を埋めずに残した。前週に加えてしまうと、期間もデータのそろい具合も混ざる。この時点の表だけでは、月曜日の最終的な符号さえ決められない。

小さく言い切れることを残す

「資金フロー」が何を測るかにも境界がある。IBITの2025年年次報告書は、流通市場での持分売買と、設定・解約を分けて説明している。既存の持分を別の投資家から買うだけなら、それ自体でファンドの持分が新しく発行されるわけではない。この報告書は仕組みを理解する資料であり、10月の数値を独立に裏づけるものではない。

今回使ったのはFarsideの公表集計だ。計算は確かめたが、各発行体の原資料を一から照合したわけではない。Farsideも、自動更新の表には誤りがあり得ると注意している。後日の修正で結果が変わる可能性は残る。現在のオンチェーン活動の時系列も、今回は収集していない。

それでも、言えることはある。そろった1週間のデータでは、ビットコインの純流入はIBITに集中し、イーサは全体で純流出だった。大きすぎる見出しを修正するには十分だが、市場局面を断定したり、ポートフォリオを決めたりする材料としては足りない。一つの入り口の混雑から街全体の繁栄を語るより、この小さな発見を正確に持ち帰りたい。

出典と計算シート

以下の3資料は2026年10月6日に再確認した。照合シートをダウンロードすると、各ファンドの週次合計、同じ日付の日次比較、10月5日の未記入欄、計算方法を確認できる。

Research artifact · Markdown